こんにちは。マネージャーの片岡です。
今日は大会に向けて伊藤の日記です。
最善を尽くせば、最良の結果を得られる。そんな世界は現実世界には存在しません。何回バットを振っても、打率は5割を超えません。外角低めいっぱいに渾身のストレートを投げても、確実に空振りを取ることはできません。
どれだけ必死に練習をしていても、今年甲子園には出られません。
秋季大会にて報徳学園、神戸国際大附属に敗れてから早くも半年以上が経ちました。そしていよいよ明日、73回生の最後の夏が始まります。
5年後、10年後、今年の夏はどのように形容されるのでしょうか。「失われた夏」「かわいそうな夏」…。「振り回された夏」が1番しっくりきますが、「忘れられた夏」になるかもしれないなぁと空想していたりします。心に残るものはいつだって、どこが甲子園に出てどこが優勝したかよりも熱く心揺さぶられる最高のプレーだから。見えないところでさまざまな方々に支えられてきた2年半、恩返しを皆さんの目に直接届けられないこと、ましてや甲子園に出てより多くの人に僕たちのプレーを見えもらえないことが寂しく、つらいです。
失われたものはやはり仲間との野球をする時間です。どれだけ記念に残るように大会を開いてもらっても取り返せないもの。その月日がもしあったならどんなチームになって、どんな結果を残せていたのか…。ですが今は、その自粛期間に練習試合があれば高校通算本塁打をもっと稼げたなって笑い飛ばせるぐらいになっています。今、野球ができている喜びを噛み締められているから。
もしかしたらこのまま高校野球が、ある人にとっては野球人生が終わってしまうのかもしれないと思った時もありました。こうして今また野球ができていること、そして目標をもってチームとして努力できていること。それは一重に独自大会を開催していただけるおかげです。ご尽力いただいた高野連の方々はじめ、非常に多くの方々にここに感謝申し上げます。しんどいこと、つらいことを超えて、野球が楽しいことを思い出させていただいたことをしっかり心に持って、最後の夏に臨みたいと思います。
3割しか打てなかったとしても、バットを振り続けてきました。何度打たれても、キャッチャーミットを目掛けて渾身の力で腕を振り続けてきました。負けるためにした努力なんて一つもありません。勝てないからって諦めたことも一つもありません。何が僕たちの道を塞いでも、最大限の努力をすることに変わりありません。元々なりふり構わず遥か遠くの夢「甲子園」を目指してきた僕たちです。
兵庫県で1番長い夏を過ごしてみせます。
長田高校野球部 副主将 伊藤翼