photo
しおざき:明日からいよいよ兵庫県大会が開幕ですね。長田は準シード、2回戦からの登場になりました。14日の初戦(vs神崎-北摂三田の勝者)を控えたいまの心境をお聞かせいただけますか?

永井監督:いよいよやね。夏の大会が近付くと、毎年目が覚めるのも早くなります。高ぶっていますよ。毎年言ってることやけど、いかに接戦をものにしていくかということ。これに尽きますね。いわゆる「強豪私学」と呼ばれる高校がいないブロックになりはしましたが、まったく楽な戦いはないと思っています。14日の初戦はどちらが勝ちあがってくるか分かりませんが、しっかりと準備をして臨みたいと思っています。

しおざき:まずは2年続けてのブロック突破(ベスト16)へ向けてということにはなると思いますが、どのような展望ですか?

永井監督:2戦目が18日(木)、和田山と加古川南の勝者です。和田山のピッチャーは秋の県大会で強豪の仁川学院を完封していますし、加古川南は6月の練習試合で終盤まで接戦だった相手。それから、ブロック突破をかけた21日(日)は、順当にいけばシード校の加古川東ですが、ここの二年生ピッチャー大竹君がまたいい。間違いなく来年は兵庫県ナンバーワンレベルのピッチャーになると思います。そういう相手と戦っていかないといけないわけです。

しおざき:接戦をものにすることで、近年長田高校はベスト8まで駒を進めてきています(2010年・2012年)が、これにあたってのチームの雰囲気はいかがですか?

永井監督:今年はベンチ入りの選手の中で、試合出場の可能性が高い選手が多くいるんです。これがどう出るか。実は昨年は、ベンチ入りした控え選手、あるいはベンチから外れてスタンドから応援することになった選手が、大会前・大会中を通じて本当にチームを盛り立ててくれていました。徹底した役割意識をもってチームが回ったことが、大会を通じて頂いた応援賞などにもつながったと思っていますが、今年は良い意味で試合出場への競争環境が激しい。だからこそ逆に、去年ほどチームに徹しきれてない部分もありました。とはいうものの、ここにきて一人ひとりの役割意識が少しずつ芽生えてきて、ベンチの雰囲気も良くなっているように思います。こうして雰囲気良く戦っていけるのは長田の大きな強みでもあるので。

しおざき:なるほど。役割を自覚した選手のサポートもチームには欠かせないということですね。

永井監督:ある程度の役割分担がチーム内で自覚されている状態ができているのはここ数年の特徴でしょうね。普段の練習では自分がやること50、人にやらせること50と言ってるんですが、もう公式戦が近づくと100%、人にやらせることに徹してもらうような選手がベンチに2,3人出てくる。去年で言うと寺村(65回生)とかね。試合への出場機会はないのですが、たとえば彼の場合はバット引き。もうとにかく全力疾走で1試合丸々バット引きをする。一回彼に「全力疾走したら止まる時も機敏に止まらないと格好つかないやろ」と指導したことがあるんですが、そうするともうそれをずっとやってるんです。ふと夏の大会の公式戦の最中に見ると、とにかくずっと徹底してやってる。ありがたいよね、こういう人がいてくれるのは。ベンチにもそういう姿は必ず伝わるので。

しおざき:チーム雰囲気づくりの観点で、気を付けておられることはあるんですか?

永井監督:うーん。そうやね、あんまり監督がごちゃごちゃ言わないこととちゃいますか(笑)。選手が自分たちで考えてなにかをやろうとした時は、じっと見守るというか。僕たちから指導したことでも、選手が選手なりに考えて咀嚼して動いていくことも出てきますから、チームみんなで盛り立ててそれをやろうとする風土を大切にしたいと思っています。ただ、自分たちでやると言ったのに徹底しないでぶれてしまうこともあるので、そういう時は、きっちりと指導してやらせていくのが僕らの仕事かとは思っています。

しおざき:今年は打力に手ごたえがあるとのことですね。

永井監督:そうですね、だいぶいままでとは違うなという手ごたえは感じています。ベスト8の壁を越えるとなったときにやはり打力。ここをなんとかしないといけないということで、このチームでは冬の練習はもう7割くらいは打撃に使いました。その分、毎年大切にしていたボール回しの時間が減って守備面で不安があるのは確かなのですが、とはいえある程度甘いコースにボールが集まってくるピッチャーなんかの場合は、かなりの確率で打ち崩せるようになってきました。

しおざき:春の公式戦でも神港学園に打ち勝つなど、打力は本当に楽しみな要素です。どなたか注目の選手はいますか?

永井監督:(熟考の末)松本という三年生。去年からでていたメンバーではないのですが、打撃という面ではこの冬、もっとも劇的に開花した選手だと思います。いまは5番か6番かを任せていますが、間違いなくポイントゲッターになってくる。いまは松本に回せばなんとかしてくれるんじゃないかという期待感も出てきました。打球が思いのほか伸びるんです。相手の野手も最初は簡単な外野フライかと思って油断してスタートを切るのですが、それがグングン伸びて外野手の頭を越していくような打球が最近は多い。この前の北大津との練習試合では右バッターながら右中間方向へのホームランを見せてくれました。

しおざき:頼もしい選手が出てきましたね。リーダーシップを発揮しているような選手はいますか?

永井監督:キャプテンの荻。言われたことをスピード感もってやろうということ、それから挨拶や声だし。こういうことをチーム全体でやらそうということには強くこだわっているようにみえますね。加えてこれも3年生の有田や本崎。彼らは試合にスタートから出ていく選手ではないんですが、ベンチからほんとにいいことを言ってくれたりする。公式戦ともなると僕たち指導者がああだこうだ言ってもあまり意味はないのでね。それよりも選手から前向きな声がでてくるというのが頼もしいことですね。

しおざき:ありがとうございました。今日のお話を伺うと、やはり今年も雰囲気も含めたチームの仕上がりは抜群に良いなと感じました。今年も長く熱い夏を楽しみにしています。

永井監督:頑張りたいと思います。ありがとうございました。

(2013年7月5日 グラウンドにて)