史上初のセンバツ出場が決まった長田高校。選手一人ひとりの想いを伝えるべく、今回はキャプテンの三宅くんに単独インタビューを行いました。
―あらためてこのたびはセンバツ出場おめでとうございます。今回はfacebookでの掲載記事ということで、すこし身内向けという感じで話を聞いていければと思います。簡単にいまのチームの紹介をしてください
三宅「このチームは、守り勝つ野球ができることが特徴です。エースの園田の力が大きいですが、勝負どころの打撃で一本が出るようになってきたことも大きいと思います。それから2年が11人、1年が21人という若いチーム構成になっているので、僕が中
心になって、チーム全体の意識を高めていけるようなチームづくりを心掛けています」
―ふだんの練習で心がけていることはありますか?
三宅「練習前に毎日、部員全員で『アファメーション』に取り組んでいます。自分のできる最高のプレーを想像することなのですが、これをすることで、理想の姿を形にしていけるように練習をするようになるので、限られた練習時間の中でも、本番に近い形で練習ができ、質が高くなると思っています」
―キャプテンとして大事にしていることを教えてください
三宅「自分のプレーだけに入り込まず、周りを常に見続けることを大事にするようにしています。ポジション的にもセカンドなので、内外野の連携も含めて、真ん中に立って、試合を動かしていくという意識でやっています」
―どうしてそう思うようになった?
三宅「ひとつ前のチームのときにショートでずっと出して頂いていて、その時もある程度責任を持って試合に出ているつもりだったのですが、最後の夏の試合に自分が1番打者として全然活躍することができなくて。そのとき反省したのが、自分が活躍しないといけないのは当然なんですけど、自分がいいプレーができないときでも、周りに声をかけていって、周りを動かしていくことができないと、試合に出ている意味がないということです。そのあと新チームでキャプテンになってからは、自分の世界に入らず、周りを見て声掛けをしていくことを心掛けています」
―なるほど。三宅くん個人の変化のきっかけは去年の夏の試合やったんやね。新チームになってから、チームとしてはなにか印象に残っている試合はありますか?
三宅「秋の地区大会の決勝戦の六甲アイランド戦です(2-15でコールド負け)。あの試合は園田がケガで出られなくて、自分たちが園田に頼りすぎていることはもともとわかっていたつもりだったのですが、自分たちがじゃあ何をしたらいいのかということまであまり意識が及んでいませんでした。でもあの試合があって、ほんまに園田がいなくなったときに、ああいう情けない試合になってしまって、そこから自分たちの意識を変えていかなあかんということを、全員が強く持つきっかけになったと思います。分岐点だったと思います」
―その後の県大会での神港学園戦(2-3で惜敗)かと思ったけど違うんだね
三宅「そうですね。神港学園戦はもちろん悔しかったんですけど、そこは強豪私学との力の差が出た部分で、しっかり自分たちの中で受け止めていけばいいことだと思ったんですが、六甲アイランドに関しては、神港学園に比べると、そこまで力の差がない状態だったはずなのに、ああいう試合になってしまったということで、自分たちの中では考えないといけない部分が大きかったと思います」
―試合後のミーティングで話したことは覚えてますか
三宅「園田に頼りすぎちゃうかということです。僕自身もあまり整理がついていなくて、ミーティングでは感情的になってしまいましたが、それは逆にみんなに伝わった部分もあるかもしれません。ほんまにいまオレらがここにおる意味ってなんやねんということ、もっと存在感を出していかないと、園田一人では上には上がっていかれへんということを話しました。結局、県大会も園田の力が大きかったですが、チームの意識が変わったことは感じることができました」
―そういったチーム全員の成長が今回のセンバツにつながった部分もありますよね。ところで、センバツ発表が決まった瞬間って何してた?
三宅「前の時間が総合体育の時間だったので、トイレで着替えていたら、窓から校長室が見えて、その校長室からフラッシュがめっちゃたかれているのを見て、『お、これ決まったんちゃんか』と」
―(笑)
三宅「で、そう思ってるうちに外からも歓声が聞こえてきて」
―発表される時間、知らなかったの?
三宅「いや分かってたんですけど(笑)。早く着替えな~と思ってるうちに先を越されてしまって。。とりあえず急いで着替えました。」
―それから3日間で、キャプテンとしてたくさんの取材を受けたと思いますが、答えにくい質問とかはなかった?
三宅「自分の甲子園でしたいプレーを聞かれたときですね。ずっとアファメーションはしてて、甲子園プレーするイメージしてきていたつもりだったんですけど、いざ本当に甲子園となると、自分のプレーだけじゃなくて、スタンドの声援とか、吹奏楽の皆さんにもお越し頂けるならその音楽とか、そういうところまで全部リアルにイメージしないといけなくて、なかなかそれが難しいなと思っています。自分がほんまにしたいプレーはなんなんやっていうのを、今回21世紀枠に選ばれたことでもう一回深く考えなあかんなと思うようになりました」
―そうだよね。本番まであと2か月ですが、今後大事になってくることは何だと考えていますか
三宅「毎日やってることですが、どれだけ理想の自分たちの姿を、自律して、しっかりとイメージできるようになるかだと思います。それから基礎・基本の徹底ができるかどうかというのも大きな差になってくると思うので、自分たちの強みは基礎・基本なんだと自信を持って言い切れるくらい、春までには力をつけてやっていきたいと思います」
―ありがとうございました。僕だけでなく、本当に多くの長田応援団が、みんなの活躍を楽しみにしていますので身体に気を付けて頑張ってください
三宅「ありがとうございました」
編集後記:忙しい練習の合間を縫って、あらゆる質問に、誠実に答えてくれた三宅くん。言葉の節々から、強い責任感と、チームとして強くなりたいという想いを感じることができました。エースの園田くんが注目されがちですが、長田高校野球部のチームづくりの根幹には彼の存在があるなと思います。甲子園でも、チーム長田で、大きな風を吹き起こしてほしいなと、強く願っています。
※甲子園開幕まで、選手たちのインタビュー記事を掲載していきます。次回は、長田高校野球部のカギを握る、エース園田くんの予定です
※文責:59回生OB 塩崎