こんにちは。マネージャーの吉井です。
今日は田村の日記です。


「我々は甲子園に行く」
毎日グラウンドに響くこの声は、その日々を経るごとに空虚なものになっているように思います。それは自信がないから。自信がないのはそれを裏付けるものがないから。一言で言えば僕たちは『甘い』。
今年も県大会に出場できませんでした。「史上最弱」と危機感を持たされたチームは、それでもその鈍足を急がせることはありませんでした。そこそこの強さを求める空気を変えることができません。
目の前の須磨翔風に勝とうとした3回戦。そして目の前の神戸第一に勝とうとした敗者復活戦。部員の誰が、その勝負に「国際や報徳を倒す、そこに繋げるため」という意識を持てたのでしょうか。近畿大会に出る、つまり県大会で3位以内に入るという事への意識がこんなにも希薄なのだから、県大会に行っても行かなくてもこれは予定通りなのかもしれません。誰も口にしなくても、みんな心のどこかで予期していた事が起きて少し自信を無くしただけ、そんな終わり方のような気がします。予選敗退が決まった後のミーティングでいちばん悔しがっていたのが、スタンドで見ていただけの選手だったから。
僕は今、勝ちたいです。それが長田生の本性のはずです。翔風に、神戸第一に勝ちたい。報徳に、国際に勝ちたい。「史上最弱」だという視線に勝ちたい。そのネガティブな予想を裏切りたい。そして、弱い弱い「自分」に勝ちたい。なにより、その甘えに打ち勝ちたい。身の回りのすべてに勝つ。長田魂。
「柱がいない」という永井先生の言葉。居並ぶ部員の考えることなんか決まっていてケガのエースを思い浮かべている。その時点で負けていると思っています。そんなチームが強くなるはずがない。人に何かを求める前に自分がする。当然のことを置き忘れている。あるいは見て見ぬ振りをしている。それは大抵「面倒くさい」に形容される心情で収まってしまうものです。体づくりをしようという取り組みがあって、では日々の家庭の食卓で、いつもの量からもう一杯でもさらにご飯を食べようという意識を持ってやっているのか。地区予選が始まる前に課題を終わらそうという取り組みがあって、では寝る前に15分でも課題を進めたのか。その日の練習で指導を受けて、練習終わりにその意識を持って30スイングでも素振りをしたのか。その日常の積み重ねを誰がしているのか。きっと誰もしていない。上手くなる道は誰にでも考えつくもの。それを実行しないのは結局面倒くさいからでしょう。何かと言い訳を自分の中で作ってみても、結局面倒くさいだけ。そんな意識しか持たないチームが甲子園を語るなんて。
川西緑台高校を練習試合で訪れた時、チームのモットーとして書かれていた言葉。「甲子園へ行って東大へ行く」。これに込められた気持ちは額面通りの意味ではなくて、恐らくはどちらも「徹底的に本気で」やるんだという決意表明に違いありません。方法論ばかり溢れる中で、どれだけ自分が汗をかいたのか。楽な方に流されていた自分に気付くのが早い分だけ、成長できるはずです。下関国際の監督の言葉は納得です。僕たちは結局進学校を言い訳をし、野球部を言い訳にする。でもこれからはどちらも本気になる。そして甲子園で下関国際に勝って言う。これが一流だと。
進むべき道が見えた今、今回の負けは10ヶ月後の財産になるはずです。もっと楽な道も傍に見えています。でも僕たちは最も険しい道を行く。全ては夏の兵庫県の頂点のために。憧れの地での1勝のために。強くなって夏また戻ってきます。その時にはその言葉は耳にする相手の脅威となっているでしょう。
「我々は甲子園に行く」