こんばんは。マネージャーの吉井です。
今日は宮川の日記です。


ほとんどの高校球児は無条件に甲子園を目指します。そういうことになっているといっても過言ではないと思います。そのくらいどの高校でも甲子園出場という文字が踊り、そして合言葉のように高校球児たちは甲子園出場を唱えます。

先日、「高校野球はガチすぎて入りづらい」というネット記事を見ました。半ば強制的に甲子園を目指させられる高校野球は、野球を純粋に楽しみたい人が入りづらいと。そして全国大会を二部制にして、強豪が本気でする従来の甲子園と、その下に楽しさ優先の大会を作ればいいのではないかと。これは名案…ですか?

僕たちBチームは親善大会と並行して、「自分たちが野球をする意味」を課題として考えました。部員の中から出た意見は、「甲子園に出場するため」「成功体験を積むため」などでした。でも、それが理由なら大半の高校球児は野球をする意味を果たせぬまま高校野球を終えることになります。しかし、監督から提示された考え方は意外にも「野球が楽しいから」というものでした。抽象的に言うと「子どもを生きるため」です。

甲子園を目標にして努力する。これほど高い目標で、これほど誰からも応援してもらえることってあるでしょうか。受験期に僕が東大を目指しても、きっと志望校を変えろ現実を見ろと言われます。大人になって夢を追っていたら冷めた目で見られるかもしれません。高校野球が終わればそんな「打算」が求められる世界に足を踏み入れることになるんだと思っています。これが最後のチャンスかもしれません。
楽しみたいから甲子園を二部制に…そんな大人の「打算」はいらないんです。細かく見ればこれができていないからこういう技術的な練習してという打算は存在するかもしれませんが、僕たちが無条件に甲子園を目指して、それに努力するということに変わりはありません。さらに、僕たち長田高校野球部は、自分たちが甲子園に手が届くと無条件に信じています。僕たちが甲子園という目標に向かってチームの仲間と努力しているその1秒1秒が全て僕たちの「野球をする意味」のはずです。同じ目標を共有した仲間と子どもを生きる、高校野球2年半のとても短くて輝かしい時間。試合の2時間半はその僕たちの2年半軌跡の密度が勝負強さに結実するはずです。

今回の親善大会のBチームの目標は「優勝」そして「Aチームを応援に来させる」ことでした。つまりはAチームより長く勝ち進もうと。実際にBチームはベスト4まで進出しAチームより長く勝ち進みましたが、Aチームが練習試合を組んだのでどちらの目標も達成できませんでした。本当は「野球をする意味」を込めて戦ったBチームの戦いをAチームと共有したかった。甘いと言われても拙いと言われても、全員が試合に、勝負に関わっていくBチームの「子どもを生きる」姿を見てもらいたかったです。神戸国際大附属も僕たちの前で神戸弘陵に負けて、僕たちは本気で優勝を考えました。その勢い、試合に対する強さを何かの形で絶対に来年の夏、結実させたい。大人になってしまうまでの残りすくない時間を懸命に懸命に子どもを生きたいと思います。常に脳裏に「甲子園」の三文字をのせて。